あかねいろ Thousand Leaves! 完全版
タケルの手に、ビニールが握られている。

「これに吐けば?」


吐こうとしたけど、夕食前で胃が空っぽだった。

タケルが背中をさすってくれた。


落ち着いてきた。


「タケルは五体満足で、普通に勉強も運動もできんじゃん。

不細工じゃないし、優しいとこもある。

なんでそれをフル活用しないの?」


タケルは、長いこと黙り込んだ。

この子がこういう風に黙った時は、何か反省している時だ。
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