あかねいろ Thousand Leaves! 完全版
「すぐ冷やせ」

リョウさんたちが入ってきた。

大地くんも一緒だ。

ミミ、ニッコリし過ぎ。


「うん」


私はカップを置いて、流しに向かった。

水を出して、赤くなった指を眺める。


水が冷たくなった…


「オマエ、大丈夫?」

「大丈夫」


秋になった途端、さらに店が忙しくなって、

リョウさんとはあんまり話してない。


水が止まった。

「そんなに痛いなら、医務室行けよ」

「もう痛くないです」

「なに敬語使ってんだ」

「あ、敬語?」


私は手を振って水を払うと、

手短にあった布で手を拭った。

「ナニやってんだよ…」


リョウさんの服、

拭きにくい…。
< 531 / 720 >

この作品をシェア

pagetop