強引な彼との社内恋愛事情

クスクスと笑い声がすると「千花さん、独り言大きい」と広重が言った。
まだ少し重そうな眼をゴシゴシとこする。


「ひっ……ろしげ」


「すごい。爆睡してましたね。まあ、あんだけ頑張ってたら疲れるか」


腰を起こして、私を引き寄せた。


「千花さん。おはようございます」


「おはよう。あれ?釣りは?」


「釣り?あっ。昨日の電話?気にしてくれてたんだ。嬉しいです。あれは、嘘ですよ」


「嘘?……ああ、そうなんだ」


ベッドの下にはスカートとストッキングが落ちてる。
昨日の今日で生着替えなんて、さすがにまだ恥ずかしい。


「千花さん。キスしていいですか?」


「……ダメ」


「昨日はいっぱいしたのにですか?」


「そうだよ。ていうか、着替えるから部屋出ていって貰える?」


「わっかりました」


ふああと大きな欠伸をした。
緊張感の欠片もない。
こういうことに慣れてるんだろうとしか思えなかった。
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