強引な彼との社内恋愛事情
「あ、お疲れ様です」
広重は私に会釈をした。
「お疲れ」
「遠山さんもサボリですか?」
「広重と一緒にしないでよ。サボリだって、言っておくけど?」
「遠山さん、顔恐いですよ」
遠山さん、なんて広重の口から出ると違和感を感じた。
あからさまだろう。
わかりやすい奴め。
可哀相にこの子も餌食になっちゃうのか。
上から目線の同情心を隣にいる女の子に送った。
コーヒーを片手に四階の喫煙所に行った。
タバコとコーヒーってなんでこんなに相性がいいんだろ。
「お疲れ」とドアが開くと、田原さんがいた。
「あれ?戻り早くないですか?」
確か、ホワイトボードには戻りは四時を過ぎると書かれていた。
「思ったより早く終わってさ」
笑いながらタバコを取り出した。