アフター7の婚約者サマ!?


「姫川!」


次の朝。

デスクでメールチェックをしていると、私より少し遅く出勤してきた佐田くんが、カバンも置かずにやってくる。

そして椅子に座る私の腰くらいの位置まで、頭を下げた。


「昨日はごめんな。俺酔っぱらってて迷惑かけたと思う!ほんとにごめん!」


いきなりの行動と、部屋中に響くような大声で謝るもんだから、朝から皆の注目の的だ。

驚きと羞恥で一瞬固まってしまうけど


「さ、佐田君…!私は大丈夫だから…顔を上げて」


あわあわと手を泳がせながら、部署内を見回すと、先輩たちがクスクスと笑っていた。


「なになに~佐田クン!酔っぱらって悠里ちゃんのこと襲っちゃったとか~?」


その手の話題が大好きな町田さんが、ニヤニヤと佐田くんに突っかかっていく。


「えっと、俺…!あまり覚えてなくて…ただ、偶然八王子さんの婚約者の話を……」

「おい」


佐田くんが名前を口にした瞬間、八王子さんが言葉を遮る。

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