ラブレッスン
だからそういう関係じゃないって言いたかったのに。




聞き入れてくれる様子はなさそうね。


ムキになって否定するより、その内勘違いに気付くまで放って置いた方が良さそうだわ。






そのままデスクに戻る私を相田部長が呼んだ。






『午後から急なミーティングしなくちゃいけなくなったんだけど、総務部に行って会議室借りる申請お願いできるかな?』





手渡された申請書に手を伸ばす。





『平気かい?』





書類を出すくらい平気なのに、なぜ聞くのかしら?






小首を傾げながら受け取った申請書には一枚の付箋が貼られていて。





“沢木さんと何かあった?平気かい?”




そう綺麗な字で書き綴られていた。





相田部長を見ると、少し気遣わしげな目をしてて。






「平気です。では急いで行ってきますね。」





少し胸の中が暖かくなるのを感じながら、総務部へと向かった。







ーーその様子を沢木さんがジッと見ていたなんて知りもせずに。





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