ラブレッスン
お昼が近付くにつれて、少しずつ言い知れない気持ちになっていった。





上手く言えるかっていう不安や、緊張。






会うのが最後になるっていう寂しさ。








お昼が来て欲しくないと思ってしまう。








そんな思いとは裏腹に震えるマナーモードの携帯。







【本文】
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これから会社に戻ります。
10分後に屋上で。

       歩
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いつからか鞄に入りっぱなしだった携帯も、いつ連絡が来てもいいようにデスクにおくようになってしまった。







最初は、突然訪問に備えてのつもりだったけど、
きっと私は結城歩からの連絡を待っていたのかもしれないわね。






苦笑しながらお弁当を手にとって立ち上がる。






『遠藤さんこれからお昼ですかぁ?』






後ろからかけられた声に一瞬驚いたけれど、それを隠すように振り返った。





「ええ。…沢木さん、例の話、今日にも何とかなるかもしれないわ。」






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