あゝ愛しの毒キノコ
即効性は抜群


好きだよ。

そう言って返ってくるのは「ありがとう」だとか「照れる」だとか。あとは微笑むだけ。

1度も好きだとは返ってこなかった。俺も、とも言われなかった。ちゃんとあたしは友達として、親友としての“好き”だと言っていたつもりだったのに。本当は気づかれていたのかもしれない。

それでも変わらずにいてくれたんだから、わたしは感謝すべきなのかもしれない。


……ぜんぶ、すべて、わかっていたんだよ。
一番にはなれないこと。あたしは、ただの親友でしかいられないことも。

恋愛対象には、なれなかった。いつだって恋の相談を受ける役目。それでも、あまり詳しく話されなかったのは、今思い出せば気づかわれていたのかもしれない。


哀しいくらいに愛しい想いに、行く宛がなかった。捨ててしまえたら楽なのに。手離せない。手離したくなかった。

高校を卒業して地元を離れて。会わなくなっても、薄らぐことなく心に留まってしまった。


「色々ありがとう、深瀬」

「ん、良かった」


終わらせることのできていないこの恋は、どうしたらいいんだろう。


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