知ることから始まるんだ!
その言葉に、明日奈はしばらく考えて、1日だけ待ってほしいと幸樹に頼んだ。
幸樹は明日奈の目を見て1日だけ待つことにした。


明日奈は母がなぜ自宅と借金なんてミスマッチなものを残してくれたのがわからなかった。
家を売って借金を返せばいいのではないか?
慶吾さんもみんなが食べていける仕事はしているのだから、いったん借家住まいになってもかまわないのではないか?


(お母さんの本心はどこにあるんだろう?)


明日奈は慶吾に何か母が伝えていないかをきくために、慶吾の部屋に行ってみた。
慶吾は部屋にいなかったが、電話の隣に、母の持っていたノートが置いてあった。

ノートを開いてみた明日奈は、偶然開いたページの内容に愕然とした。


「充は私とは何の関係もないことくらいわかっている。
慶吾があの娘と付き合っていたときの子だ。
ほんとに充はかわいいのに不憫な子ね。

充には恨みはない。ほんとにかわいい子。私に元気をくれる子。
慶吾には家を渡さない。
借金だって実際は慶吾が派手な生活をした結果だもの。

私のものは明日奈行きよ。
でも、充は・・・慶吾が育てることになってしまう。
嫌だ。充はほんとにいい子だもの。
悲しい・・・充だけは私の本当の子どもだって言いたいのに。」



「充くんのことを・・・そんなに・・・。」


「何をこそこそ読んでいるの?」


「あっ、慶吾さん・・・。
これ、母の日記ですよね。」


「これはうっかり置き忘れていました。
それに、君がこの部屋に来るなんて予想もしてなかったな。

でも、そのおかげで君と家族になれそうだね。」


「えっ!」

慶吾が明日奈の手をひっぱって、ベッドの上に明日奈を押し倒すと、上から慶吾がのしかかってきた。


「いやぁ!!!や、やめて!」


明日奈の服がはだけて胸が少し露わになったとき、慶吾は後ろから掴み掛られて、左頬に痛いパンチをくらった。


「うわあっ!!い・・・たっ。」


「明日奈に乱暴するヤツは俺は絶対許さない!
明日奈が同意する相手以外には触れさせてたまるもんか。」


「先生・・・。」


「そうさ、俺だって母の違う兄だが、明日奈の幸せは第一に思ってる!
君のような人には明日奈はわたせない!」


「兄さん!」


結局、幸樹たちは、慶吾が明日奈に近寄らないことを条件に警察には通報しないでいることにした。
そして、幸樹は弟の芳樹に連絡をして、明日奈の母親の財産についてもう一度きちんと整理させることにした。

充はかわいそうだったが一時、島の児童養護施設へと入れることになった。


「充くん、施設にいれて放っておくことなんてできないわ。
私が何とか引き取れるようにしなきゃ。
慶吾さんは親らしいことをしてきたわけじゃないし、育てる気なんてないだろうし。
でも、じつの親っていうのは強みだし・・・。」


「明日奈は充くんを引き取ってママになりたいか?」


「ええ、せっかく私になついてくれたし。」


「じゃ、俺と結婚して充くんを養子にするんだ。」



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