純愛デビュー


「いや、東京ってそんな印象なんだなって」

「俺の中ではな、違うのかよ?」

「んーまぁ違うとも言い切れないけど...」

「だってカンナだってイケてんじゃん」

「え、あたし?」


その言葉に思わず驚いて体ごと拓真をみると


拓真もあたしをみていて


思わず近距離での視線の混じり具合に


ドキッとして自然に海に目を向けた



「俺校長室は行ったとき、どこのモデルが来たかとおもったよ」

「そんな大げさだって」


拓真は「まじまじ」っと言いつつも肩を揺らしながら笑う


「うちの高校の女子なんてあんまりいねーよ?目立つやつ」

「あたしそんな目立つタイプじゃないよ」

「えっそうなの?きっと明日から学校大騒ぎになりそうだな」

「それはないよ...」

「ま、そんなヤツと既に仲良くなった俺って....先取りしてね?」

「いや、それなんか使い方違うってば」


あたしと拓真はプッと噴出して笑った



こんなゆったり時の流れる


青春が来るなんて思ってもみなかった




「そろそろ腹空いたし帰るわ」

「あ、ゴメンネ長々と話しちゃって」

「いや、引き止めたの俺だし。送るよ」

「えっいいよ帰れる」

「いいの、送らせて」


「じゃあ...」



あたしは拓真と並んで家までの細長い道を歩いた


拓真といると無理しなくて


自然体で入れるし、たくさん笑える



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