純愛デビュー


「なら早瀬君のことが好きだから断ったんじゃないの?」

「それはちがうよ」

「ふ~ん、まぁいいけど?」



なんとか諦めてくれたと思ったけど


帰り際にやっぱり「早瀬君に誘われるの待つのみ」

なんて楽しそうにゆりが言うから



あたしは葉月と目を合わせて笑った











「おはよう」

「あぁ」



相変わらず隣の席なのに

朝の挨拶と

帰りの「またね」

くらいしか会話を交わさない関係の

あたしと速水くん。



だけど授業中に外を眺めてる横顔とか


気持ちよさそうに寝ている寝顔とか


あたしは密かにドキドキして


どんどん気持ちが大きくなっていた。




「あの...さぁ」


今日もいつもと同じく席に着く

けど、何を思ったのか


ぼーっとする速水君に気がつけば話しかけていたあたし


「何?」


....えっと


どうしよう...話題、話題...



「あっ...な!夏祭り!」

「ん?」

「夏祭り...い、行くの?」


って...なにこのわざとらしい質問



はぁ...もうバカバカ。


「んーわかんねぇ」


しかも困らせちゃったし...







< 33 / 42 >

この作品をシェア

pagetop