続・エレベーター
美香のお母さんは台ふきんでわたしが零した麦茶を拭きながら、


『なんでこの団地はこんなに死ぬ人が多いのかしら?』


掠れる声でそう言った。


『あの…つい何ヶ月か前にもこの団地で飛び降り自殺した人がいるって…。その人の家がもしかして…。』


わたしは恐る恐る聞いてみた。


『中西さんのこと?』


『いや、名前までは…。』


いけないことを聞いてしまった気がして、わたしは俯いた。


『中西さんの家は、5階なのよ。』


わたしに気を使わせないためか、美香のお母さんは少し明るめにそう言った。
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