ヒスイ巫女3

恨み

俺は昔から不器用だった。
器用な兄貴と違って何度も練習しないとできないし、いざ本番になると不安で落ち潰されそうになった。
でもたった一つこれだけは兄貴に譲りたくない人がいた。
それがヒスイだ。
ヒスイは幼なじみのような妹のような……でも一番好きな女の子だった。
ヒスイだけは兄貴に取られたくなかった。
でも…ヒスイは兄貴を選んだ
兄貴を婚約者に選びそれは幸せそうだった。
兄貴も幸せそうだった。
俺は苦しかった
ヒスイに幸せになってほしいと思うけれども
俺はヒスイが好きなんだ。
そんな時兄貴が誰かに殺された。
悲しかった。
でも心の奥底ではどこか嬉しかった。
ヒスイがおれのものになるって
でも…ヒスイが兄貴の前で泣いているのを見て
悲しいって心の底から思う事ができた。
ヒスイが俺を婚約者に選んでくれた時嬉しかった。
でも兄貴が死んだ後でもヒスイは兄貴しか見ていなかった。
ある日急に思ったんだ。
兄貴に俺は嫉妬心を持っていたでもそれは間違いじゃないかってだってそうだろ?
俺を見ないで俺を苦しめてるのはヒスイであって兄貴ではない。
兄貴への嫉妬はヒスイへの恨みにいつしか変わっていた。
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