アイザワさんとアイザワさん

フライヤーに立つ相澤のその後ろ姿に向かって私は聞こえないくらいの声で、そっと『ごめんなさい。』『ありがとう』と言った。


ずっと辛い思いをさせてごめんね。
苦しめてごめんね。



そして守ってくれて……ありがとう。



今日が終わったら、相澤が苦しんでいる全ての後悔や葛藤が消えていますように。



そして、出来ればこの想いが伝わることを……私は願っているんだ。



今日は聖なる日なんだから、こんな図々しい願いを叶えてくれるサンタさんだっているかもしれない。むしろ願いが叶うなら、サンタだって、神様だって、何でもいいや。



「よい行いも悪い行いも神様が見てるんだよ。背筋を伸ばして生きなさい。」


おばあちゃんの言葉を思い出す。
私は何年もおばあちゃんがくれた大切な言葉を懺悔として使ってきた。


後悔することはたくさんあるけど、過去には戻れない。これからは未来に向かうために私はおばあちゃんの言葉を何度も唱える。



『清く、正しく、美しく。』



これからは、そんな『正しい』自分でいられるかもしれない。



今日はおばあちゃんに祈ってみよう。
見守っていてね。
全てが終わったら、会いに行くから。
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