アイザワさんとアイザワさん

いつもなら留守電を聞いてすぐに家には帰れないと『母親』にメールをするけれど、今回はなんとなく携帯を手にすることができなかった。


どうしたらいいのか分からず、何も返事を返すこともできずに、気がついたら留守電が入ってから2日が経ってしまっていた。


***

「よう、初ちゃん、茜ちゃん。」

いつものようにサンキューマート常連の源ちゃんが陽気に手を上げて店内へと入って来た。
今日はたまたまふらりとやって来たのではなく……私がお店に来て欲しいと呼んだのだ。


「源ちゃん!」


店に入るなり、駆け寄って手を握った私を見て、源ちゃんは目を丸くして驚いていた。


「は、初ちゃん、どうした?!」


「どうしよう、源ちゃん!電話がね……入ってたの!家に行かなきゃいけないの!」


「分かった、分かった。とりあえず落ち着けや。」


源ちゃんになだめられつつ、仕事を終えた私はそのまま源ちゃんを『Milky Way』まで引っ張って行った。


いつもはショーケースを眺めて「どれにしようかなー」なんて迷いながらケーキやパンを選ぶけど、今日は挨拶もそこそこに真っ直ぐにカフェスペースへと入って行った。


そんな私の勢いに木村くんや陽介さんも驚いていた。
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