アイザワさんとアイザワさん

「おっ、さすが樹ちゃん。話が分かるねぇ。」

相澤はもうすっかり源ちゃんとも打ち解けていた。

じいさんまでメロメロにするなんて、イケメンのフェロモン、半端ないぜ。


「お店も、そんなに混んでないからいいですよ。ほら、相沢。この前に置いてるディスプレイちょっと寄せたらみんな座れるだろ?」
と言ってにこやかに笑う。


営業スマイルも完璧ですね……。


「源ちゃん、今回だけだからね。」私はそう言いながら、椅子を取りにスタッフルームに向かい、相方の子にはコーヒーの準備をお願いした。


スタッフルームに入ると、もう相澤からは先ほど見せていた満面の笑みは消えていた。


その温度差に驚きながら、椅子を2脚ずつ両手に掛けて持ち上げて、よいしょ、と運ぶ。

そして入り口を抜けようとした時、持ち方が悪かったのかドアにガツッ、と椅子が当たった。


あっ!と思う間もなく、ガシャーン!!と派手な音を立てて、私は椅子ごとひっくり返ってしまった。
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