アイザワさんとアイザワさん

俺の好きな人。-樹side-


夢を見ていた。

俺の好きな人の夢だ。


彼女は、いつも大切な人のそばに寄り添っていた。その人を守りたい。その一心で。


だけど辛そうな顔を見せず、いつも笑顔だった。


まるで向日葵のような人だった。


俺は、その明るさに憧れるように……いつも恋焦がれていたんだ。



***

「……つき、樹!!」

名前を呼ばれて乱暴に身体を揺さぶられる。

目を開けると、目の前にガラの悪い男の顔があった。


「……っ、何だよ?」
せっかく、いい夢を見てたのに。

「お前、いい加減に起きろよ。今日、昼からだろ?」

ベッドサイドの時計を見る。もう10時を回っていた。

「相沢さんには、もう樹は大丈夫、って連絡したからな。だから、這ってでも行けよ。」


「……何だよそれ。俺は被害者だぞ。」


あいつのせいでこんな目に遭ったのに……と不満な顔を叔父さんに向ける。


「それはそうと、樹。……お前、相沢さんに何もしてないだろうな?」


どんだけ信用されてないんだよ……

「まぁ、相沢さんも『何もなかった』って言ってたけどな。相沢さんは、生方さんから預かった大事なお嬢さんなんだから、余計な気は起こすんじゃねぇぞ。」

そう言った叔父さんの声はドスが効いていた。
本職も真っ青の迫力だ。


< 58 / 344 >

この作品をシェア

pagetop