アイザワさんとアイザワさん

「私、相沢さんにオススメしたい人がいるんだけど、どうかな?」

きっかけは鞠枝さんのそんな一言だった。

驚く私に構わず、鞠枝さんはその場で電話をかけて馨さんを呼び出した。

慌ててやって来た馨さんに「後は二人でどうぞ」とまるでお見合いのように言い残して鞠枝さんは去っていった。


「はぁ……参ったな。相沢さんも急にごめんね」

「店長が謝ることじゃないですよ。……ちょっとびっくりしましたけど。」

この時、私は冗談でからかわれたんだと思っていた。でも、副店長も冗談キツイですねーと笑って言った私に、


「でも、俺が相沢さんのこと気になってたのは、ほんとう。俺と付き合ってくれない?」


と馨さんが私に告白をして……びっくりして思わずうなずいてしまっていた。


こうして私と馨さんはお付き合いをすることになり、優しくて真っ直ぐな人柄の馨さんとの恋に私は夢中になっていった。


馨さんが心の支えだった。
家族がバラバラになってしまった辛い日々も、彼の優しさがあったから耐えられたんだと思う。

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