理屈抜きの恋
「だから言っただろ?撫子はホストに入れ込むような子じゃない、って。」

「だって…。」

お母さんたちが心配するのも無理はない。
何せ、足を痛めた私をタクシーから降ろし、荷物を運んでくれたのはバリバリのホストだったから。

しかも家にまで上がり込んできて、わざわざ「初めまして。本宮涼です。今後ともよろしくお願いします。」なんて自己紹介したんだからそりゃもうパニックだ。

ついでに言えば、キスをされることを拒んだ結果、ワイシャツの首元に私の口紅が付いてしまったのを、理由を知らずに見てしまえば、パニックの次に襲ってくるのは失神しかない。

神野家にとって本当に散々な夜だった。

「あの人は、私の足を気遣ってくれただけの通りすがりのホストだよ。もう二度と会うことはないから。」

「それならそうと早く言いなさい。てっきりホストクラブに通い始めたのかと思ったじゃない。いや、いいのよ。別に、行っても。でも、同伴なんて先に話しておいてくれないとお母さん、びっくりするわよ。でも、かっこよかったわね。今度行くなら私も連れて行って。」

急に論点がズレた気がしてならないけど、ひとまず問題は解決したようで良かった。

でも、こうして冷静に朝食を食べて、親と話しているけど、本当はご飯の味はしないし、頭の中はあのホストのことでいっぱいだ。
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