課長と私


下着…下着………




なるべくその人を起こさないように静かに動く。


「どこぉ……」


速くこの状態を回避したいのに、お目当てのものは一向に出てこない。


かと言ってこの毛布を剥いで探す気にもなれない。


「お目当てのものは…これ?」


寝起きのせいで声が少しかすれている。


起こしてしまった……



「…お、おはようございます……」

「おはよ……だんだん、俺好みになって来たね…。」


まだ半分夢の中のようなその人は、私の下着を片手に持ちうっすら微笑みながらこちらを見ている。



くぅっ……

何だその顔…殺す気か……



「かっ…返してくださいよ…」



ただでさえ自分の下着を見られるのが恥ずかしいのに…


しかもガッチリ握られている。


「やだ…。」

「やだじゃないです。…返してください。」


しびれをきらした私が左手で毛布を持ち胸元を隠しながら、右手でそれを取り返した。


「……何で隠してんの…?」


取られちゃった…と残念そうな顔でつぶやく。


「はっ…恥ずかしいじゃないですか…普通…」

「何回も見てるのに…」

「もー…言わないでくださいよ!」

「なんなら昨日の可愛い顔」


これ以上は私の羞恥心が耐えられないと思い、その人の口をふさぐ。

そんな姿を見て少し嬉しそうにする彼。
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