課長と私

「……分かってない」



「…何ですか」



「……今回だけだって、約束できる?」




苦渋の選択をしてくれたようだ。

すごく嫌そうなオーラが感じたくなくても分かってしまった。


先輩の嫌々そうな許可がおりたことで、なんとか飲み会の席にいけることができた。

まぁ、私が主役じゃないし大丈夫でしょ。


あっという間に当日。
始まる時間と場所だけ彼に伝えておいた。

緩奈と私ともう2人、別の部署の女の子が参加している。
4対4の飲み会らしい。

予約してくれたお店につき、個室に通されると先に男性陣がすでに座っていた。

なんだかんだ合コンなんて大学の1年生の時にやった以来。
それ以降は先輩と付き合っていたから…



「遅れちゃってすいません…」



「あ、いいよいいよ。俺たちが早く着きすぎちゃっただけだから。」



着ている服からすると、仕事終わりのサラリーマンだろうか。
年齢は全員年上とは聞いている。

私はとりあえず緩奈の横、1番端っこに座った。



お互いに自己紹介をして、お酒も入っていたため、なんとなく仲良くなれた頃…




「楓、私お手洗い行ってくるね。カバン見ておいて!」



「あ、了解~」



隣に座っていた緩奈が席を立った。

彼女もなんとなく楽しんでいるように見えたから、今日は当たりだったのかも知れない。




「楓ちゃん…だっけ?」



「え?あ…はぁ……」




空いた席を即座にうめた男性。
1番遠い席にいた方だった。

名前…なんだったかな。覚える気もなかったから…




「お酒、飲んでないの?」



「あ…そうなんですよ、すぐ酔っちゃってだめなんです。」



「へぇ~酔ったら俺が介抱してあげるのに」



「ははは…」




すごい。乾いた笑いしか出てこない。




「彼氏、いないの?可愛いのに。」



「え?あ、あー…」



「まさか、いるの?」




ちょっとこの人距離近い。
酔っ払いめ…

ここらで線を引いておいた方が良いのかも…




「そうなんですよ…実は彼氏いるんですけど、数合わせで呼ばれちゃって…はは…」




これでどうだ!
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