体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
優はバスタオルの上に美弥を倒した。

コロナの瓶が倒れて、残ったビールの液体がこぼれた。

「誰か来たらどうするの?」

「ここには誰も来ないし、だれからも見られない」

それでも太陽の下で抱き合うのは躊躇した。

「家に入ろうよ」

言葉が吐息交じりになる。

波の音が響く。

じりじりと太陽が照りつける。

こぼれたビールのにおいが鼻をつく。

夏の中で美弥の体は溶けそうだった。

「やめる?」

答える代わりに、美弥は優の首にしがみついた。
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