体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
第二章 体をめぐる勉強会
太陽が真上を越えて西南の空から照りつける頃、1日で一番暑いとされる時間に2人はカフェを出た。

美弥は空を仰ぐ。

いよいよ本格的な夏の太陽を、手をかざして透かし見したあと、バッグに入った折り畳の日傘を取り出してさす。

その黒い日傘を眺めながら、「そんなめんどくさいもん、いちいちよく使えるな」と、感心してるんだかバカにしているんだかわからない感じで優が言う。

「若くない女はいろいろと気を使わないといけないの。沖田優の彼女はまだ若いから必要ないかもしれないけど」

「彼女も使ってるよ。まだ20代なのに日焼け防止に余念がない。女ってなんでそんなに日焼けがいやなの?」

「紫外線でシミ・しわに強襲されるのがいやなのよ。今日なんて泊るつもりなんてなかったから日焼け止めもファンデーションもつけてないし。私、今すっぴんよ。30の女が昼の日比谷ですっぴんってどうよ? 超キケン」と美弥は口をとがらせる。

そのすぼまった口を、癖って子供の頃から変わらないもんなんだなと、優は感心しながら眺めた
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