体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
後ろで「うわっ」という叫び声が聞こえたので振り返ると、沼田が石の上の苔に足を滑らせ、危うく転びかけたのをなんとか踏みとどまっていた。

由美はいつの間にか大きな石に腰かけて、浅瀬の中で足をばちゃばちゃ遊ばせ「気持ちいいー」と喜んでいる。

浅瀬に移動しようと美弥が歩き出したところで背中に水がかかった。

「冷たい!」

振り返ると優が水鉄砲を向けて笑っている。

「何、それ」

「さっき買い出ししたとき、ついでに買ってみた」と、今度は美弥の顔めがけて水を飛ばしてくる。

「そっちがその気なら」

美弥は川の水を手にすくって優に投げつけた。

ざばっと優の顔面に水が的中する。

不意打ちを食らった優が「ひゃあ」と言って顔をしかめたその表情がおかしくて、美弥はあははと声をあげて笑った。

「くっそー」と、優はまた水鉄砲を美弥に向けたが中の水はもう尽きていて、川の水を水鉄砲に補給しようと優がかがんだすきに、美弥はまた水をすくって今度は優の背中に落とした。

「うわっ」

慌てて状態を起こしたところでもうひとすくい、ばしゃっと顔にかける。

優は水鉄砲をカーゴパンツのポケットに押し込み、同じように手で水をすくって美弥に放った。
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