強引な彼との社内恋愛事情*2
秋深まれど、見えぬもの

さすがに、言えなかった。広重に。


嘘だって、冗談だって、怒るに決まっている。


この前、谷くんと喧嘩したことも、なかったみたいにしてるのに。


こんなことで、チームワークを乱すこともしたくないし、社内という狭い中で、下手な荒波だって立てたくない。


デスクから、チラリと見ると、谷くんと広重が楽しそうに話してた。


うん。前と変わりない。


谷くんが「言わない」と言ってから、私にも、なにも言ってこない。


あれで、終わりなんだろうと思った。


ただ言いたかっただけだと。そう信じよう。
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