強引な彼との社内恋愛事情*2
「あ。お会計終わった」と、入口の前で田原さんは言った。
「え?幾らですか?」
「いらねーよ」
「え。でも」
「その代わり、俺がクビになりそうだったら、遠山の力で守ってくれよ」
「私にそんな力、ありません」
不貞腐れたように言うと、「なんか、本当、変わったな」と言って、私を見つめた。
「え?」
「前より、いいよ」
そう言って、駅へと向かう。
一歩後ろから、広い背中を眺めて、ひどく不思議な気分になる。
それから、広重に会わなきゃ、と、無償に会いたくなった。