大きな河の流れるまちで〜番外編 虎太郎の逆襲〜
僕等はリュウの強引な行動力について、溜息と共に話し合った。
いつものことだが、僕等は、あいつの思ったように踊らされてないのだろうか?
きっと、公立の高校を勧めてきたのだって、のんびりしている僕にあやめとのことを考えさせたり、将来どうしたいのかってことを、考えさせるためだったに違いない。
まんまと僕は医師になろうって決心してしまいそうだし、周りのみんなにあやめの事を許婚だって宣言してる。
僕は自ら困難な道に踏み出し、後に引けない状況に陥っていないだろうか?
もっともっと、楽チンで、無責任な道もたくさんあったと思うのに。
あいつは、ナナコにデレデレしながら、ゴロゴロしているだけの男じゃないってことが、僕等もやっと気付けるくらい大人になったってことだろうか?
リュウの知り合いはあいつの頭は高性能で、誰も敵わないって、アイツと正面から戦いを挑ままないって噂は、やっぱり本当だったのかと思う。
リュウの思い通りになってしまうのはくやしい。大声で叫び出したいほどだ。
でも、リュウは僕らをとても愛してるのだ。そして、僕達もそれをよくわかっている。
きっといつかリュウを越えてやる。絶対にだ。
今は、リュウの掌の中で、右往左往していたとしても、きっと、出し抜いて対等になってやる。
僕は、心に強く誓った。
僕はムキになって、問題集に取り掛かり、あやめを呆れさせた。

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