大きな河の流れるまちで〜番外編 虎太郎の逆襲〜
今夜は大人達はスミスさんのパーティに呼ばれて留守だ。
2組のドレスアップした夫婦は趣が違うけれど、どちらも、美しい。スラリと背の高く、スタイルの良い東野夫妻は、シンデレラに出てくる王子と王女のようだし、デカイリュウと小さなナナコが腕を組んでいる様子は美女と野獣(まあ、リュウは野獣の魔法が解けた王子かな)のようだ。
ハワイじゃ留守番を子どもだけでさせるのは禁止だけど、僕とあやめが13歳を超えているので、保護者の役割らしい。外に出るなと、3人に言い聞かせ、リビングルームで僕は観たかった、アクション映画を見始め、ソファーに転がる。あいつらはもうひとつのリビングルームでに陣取り、テレビゲームに熱中し始めた。(ナナコがいるとテレビゲームに時間制限がある。)
少しして、あやめが僕のいるリビングルームに顔を出す。
「こっちはアクション物か。まあ、ゲームよりマシね。」とつぶやいて、僕の頭の隣に座った。僕は頭を上げて移動させ、あやめの膝を枕に使う。あやめは車がぶつかり合う画面に気を取られているようすだ。僕はあやめの表情を観察する。しばらくすると、あやめが僕の視線に気づいて、何?という顔をしたので、
「あやめ、キスしたい。」と言ってから、あやめの頭を引き寄せてキスをした。閉じた唇をゆっくり味わってから、
「あやめ、唇開いて。」と言って、もう一度、唇を重ねると、そっと、あやめの唇から、力が抜けた。僕はあやめの頭を抱え込んで、舌を使う。歯列をなぞり、舌を捉え、ゆっくり、唾液を交換する。僕のいやらしいキスに我慢できなくなったのか、あやめは僕の手を解いて、唇を離して、赤い顔で、横を向いた。
「バカ虎、首が痛い。」と小さい声で文句を言う。僕は隣に座りなおして、ごめん。と言ってから、
「もう1回。」と、背中に腕を回し、長く、少しいやらしくキスをした。唇を離すとき名残惜しくてちょっと唇を吸ったら、リップ音がした。
「リュウパパみたい。」と真っ赤な顔で、あやめがちょっと、笑う。リュウはナナコとのキスの最後に必ず、音を立てる。今の僕のように唇を離すのが惜しいんだなと納得して、僕も笑った。
その後は、2人で並んで映画を見た。僕はあやめのからだに腕を回したまま。あやめは僕の肩に寄り添ったままで。
家族っていうより、恋人みたいに。
僕等はやっと、お付き合いを始めることができたみたいだ。
< 26 / 40 >

この作品をシェア

pagetop