大きな河の流れるまちで〜番外編 虎太郎の逆襲〜

虎太郎30歳、あやめ31歳

僕は日本に戻る機内で欠伸をする。やっと、自分で、ビジネスシートに座れたな。と感慨が深い。
僕は30歳になった。
25歳で順調に国家試験に受かり、医師免許を取った。そして、直ぐにあやめと籍を入れた。研修期間は2年間だったから、2人とも研修医で忙しかったが、あやめは研修を終える直前で、妊娠して、研修医を終えたところで、少し仕事から離れた。
僕はリュウに似て、結構優秀だったから、研修を終えたところでアメリカのボストンの大学病院に留学が決まり、あやめと、赤ん坊だったハル(女の子)を連れ、アメリカに渡った。
そして、4年経った今、日本に帰って、東野記念病院に勤める事を決め、帰国するところだ。
あやめは3ヶ月前に帰国し、新居の準備をしている。祖父が使っていた屋敷を相続して、手を入れ直し、リフォームして、住む事にしたからだ。
東野記念病院も、5年前に建て直し、東野医療センターって言う名前になったけど、まあ、勤めている人が変わった訳じゃないから、個人病院には違いないと思う。僕の両親も、あやめの両親も健在だけど、何歳まで働かせるつもりなんだ?と言われて、もう、リュウも桜子さんも69歳になっているのを思い出す。
後、数年の間に僕達が病院を継ぐ事になりそうだ。僕はあの病院を継ぐ資格があるだろうか?
桜子さんが院長になったのは54歳の時だった。まあ、理事として残ってもらうとしても、僕等はうんと若い歳で継ぐ事になりそうだし、大丈夫なのかと自問自答する。
まあ、勤めてみなければ僕も周りも判断できないんだろう。僕等の手に余ればふさわしい人を探すまでだ。僕等はサポートに回っても、地域のための病院って言う、コンセプトを残せれば役割を果たせる気がする。
とりあえず全力で取り組もうと考える。柊は内科医を選んで(まだ、研修医)、槇は経営を学んで、東野病院の事務にいる。(僕らは医療センターなんて馴染みがないから、東野病院と呼んでいる)
僕は救命医の道を選んだ。あの病院には救急外来は欠かせないと思ったからだったけど、リュウと同じ道を歩くのは辛い。アイツは僕にとって、大きくて、厚い壁だ。いつかアイツを顎で使う日は来るだろうか?昔は、必ず追い越すって思ってたけど、大先輩だし(かなり優秀)、これから僕が顎で使われそうだ。でも、リュウから学べる事は残さず、学びたい。きっとそれが、救命医として、成長する1番の近道だ。

僕はトロトロと眠くなる。はやく、家族に会いたいと思う。あやめ(内科医になった)とハルと去年生まれた男の子。海(うみ)。が僕の大切な家族だ。あと、ナナコのフルーツタルトが食べたい。きっと、ナナコの事だから、用意しているだろうと思う。
ナナコとあやめがキッチンに立って、料理をしていて、リュウはハルと海に(大甘なおじいちゃんだ)、体によじ登られて楽しそうにしているだろう。桜子さんと壮一郎さんは最近ハマっている将棋をしているかな。鷹斗は大学病院で外科医(コイツもまだ、研修医)を選んだ。今日は夜に僕らの新居に遊びに来ると言っていた。もちろん柊と槇もやってくる。
久しぶりに2つの家族が全員揃う。
僕は幸福な気分で目を閉じる。次に目が覚めたら、きっと成田だ。
はやく大きな河が流れる僕の街に帰りたい。
これから、僕達はあの街で生きていくのだ。
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