…だけど、どうしても
あの雨の夜は、箍が外れて襲うように抱いてしまったが、禁欲生活を強いられていた俺がそれで満足するわけもなく、そのまま自分のマンションに花乃を連れ込み、また狂ったように何度も抱いた。
それから何度肌を重ねても…俺はいつも初めは同じ過ちを繰り返すまいと慎重に彼女を愛撫するが、あの白い、さらりとしてそれでいて俺に吸いついてくるような肌に触れているうちに、雪崩に飲み込まれるように瞬く間に理性を失い、結局めちゃくちゃに抱いてしまう。
相当乱暴な真似をしているのではないだろうか、と俺は自分の記憶が曖昧になるほど本能ばかりに支配された後、己の行為を正確に思い出すことができず自己嫌悪に陥るのだが、結局また同じことを繰り返す。
セックスを覚えたての高校生でもあるまいし、今まで何人の女を抱いてきたのか覚えてすらいない、28歳のいい年した男が、信じられないくらい盛って、一晩に何度も何度も求めてしまう。
日中でさえ、ふとした時に彼女のことを思い出すだけで欲情に身体を貫かれ、堪えるのに苦しいほどだ。
それでも花乃は文句らしいことは一言も言わない。
何度めかで気絶することがあっても、疲れ果てて言葉もなく眠り込んでしまうことがあっても、目覚めた後優しく、あの顔で微笑む。
紛れもなく俺は彼女に溺れている。
そんな馬鹿馬鹿しい俺の頭の中を覗いたわけでもあるまいが、高木は呆れて俺を眺めている。
花乃と付き合うようになってからは、俺の無茶なスケジュールや奴に仕事を押しつけるようなこともなくなり、文句はないようだが、ことあるごとに、お前は誰だ、気色悪い、を繰り返す。
「処女にそんなに溺れるもんかねえ…」
「処女?」
高木は舌打ちする。実際、花乃と出逢うまで俺が会話の中で聞き返したりオウム返ししたりなんてことはなかった。高木が苛立つのもわかる。
「男と付き合ったことなんかないだろ、あれは…」