パラレル
気付いてからも、不思議な出来事は続いた。
不思議な現象は全て物の移動だった。例えば、片付けた漫画が出しっぱなしになったり、朝カーテンが開いていたり、トイレから帰るとテレビのチャンネルが変わっていたりした。それらに気付くのは全て出来事が起きた後で、変化が起きる瞬間を見たことはなかった。流石にチャンネルが変わったのは気持ちが悪く、管理会社に鍵を変えてもらうようにクレームをつけた。程なく鍵は交換されたが、現象は続いた。
祟りかなにかだと思い、気持ちが悪かったが、せっかく始めた独り暮らしをすぐに終えるのは嫌だったので、親には相談出来なかった。お札がないか部屋にある家具の隅々を探したが見付からなかった。お札を買ってきて、部屋に貼ってみたが、そのお札の位置が訂正されていたのには恐怖を越えて笑いすらでてきた。
気持ちは悪いが実害はない。中途半端な恐怖がついてまわっていたが、ある日、洗濯物を干したまま学校へ行っていると夕立にあい、びしょ濡れになって家に帰り洗濯物を取り込もうとすると、既に取り込まれていたのに驚いた。畳んではなかったが、ほとんど濡れていなかったので、雨が降ってすぐに取り込まれたのが分かった。窓も閉めてあり鍵がかかっていた。
この事から、この奇妙な現象を少しずつ受け入れるようになった。
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