理想の恋人って!?
「だって、そうでしょ? ありえない」

 そう言う私に美佳が問う。

「なんで?」
「なんでって言われても……晃一と私は小学校からの腐れ縁だし」
「幼馴染みでしょ。幼馴染み同士で付き合うことだってよくあるじゃない」
「まあね。でも……」

 私は晃一の方を見る。無造作に整えた短めの茶髪、背の低い私を見下す、もとい見下ろす少し切れ長の目、無愛想な口元……。まあ、鼻筋はきれいだし、確かに整っている――うん、かなり整っていて、どちらかと言えば精悍な――方だとは思う。でも、グラフィックTシャツにダメージ加工のジーパンはいただけない。

「やっぱ、ダメ。好みじゃないもん」
「えーっ、じゃあ、明梨の理想の恋人ってどんな感じなの?」

 美佳に訊かれて、「うーん」と考え込む。
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