嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?


「なるほどね。ってか、貴方から聞かされた時びっくりしたわ。何年も受付嬢が玉砕されてきた王子様を――まさか貴方がねえ」

「だから、別に紡さんは王子様じゃないですよ。最初の歓迎会の時だって助けてくれたのは新さんだったんですし」
「ん? 歓迎会」

いつの間にか持っていたワイングラスを揺らし、香りを楽しみながら塚本さんが軽く首を傾げた。


「新入社員歓迎会でホテルで林田編集長さんにセクハラされて時です。あの時、気を失った私を助けてくれたのは新さんだったんです。でも結局偽物でも紡さんが好きになってしまったのだから――」

「待って。あの日、助けたのは新君でも副社長でもないわよ」
綺麗にネイルされた指先でワイングラスを持ち、口角を大きく上げて言う。

「二人じゃない?」

「ええ。確かに林田編集長の頭にワインをかけたのは新くんだし、逃げようとした林田社長に足をかけて転ばせたのは副社長だけど、その後は、気絶した貴方に焦ってパニックになってて格好悪かったのよ」
< 224 / 231 >

この作品をシェア

pagetop