鏡の中





考えていて、スイッチを切るのも忘れていた。


…うるさいドライヤーの音に目を覚ました那。


そして決まり文句のように、志を呼ぶ



「おはよ、ゆっきー。どしたの?」

眠そうに目をこすりながら。




そんないつもなら愛らしい那に、志は…こたえられなかった




まだ黒いものが抜け切れていなく、どうしていいかすらもわからなかった



考えてしまうのは、嫌なことばかりで…


浮気しているのだろうか?
過去の男が忘れられないのだろうか?



わからない



ただただ、嫌なことばかり考えてしまう




拭い去れない

あのときの男の名を呼ぶ…那を





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