鏡の中




本当に夢中で抱いた。

久しぶりな感覚のはずだった。



女を抱くことは、志にとって寂しさを埋めるもので、愛を感じるものではなかったはずだから。

もちろん夢中になることはあっても、それは行為に夢中だっただけで、愛を求めて夢中になっているわけじゃなかったんだ。





行為が終わったら、意識を本当に失ってしまうなんて、昔の志なら考えられなかった。






…女の意識を飛ばしてから、自分は寂しさを抱えてその孤独感をぬぐうためにお風呂に行く。


そう、18歳の彼はいつもそうだった。




でも20歳の彼は別人だった。



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