鏡の中

過去





高校一年生。


どきどきしながら、教室に入った。


そこには、同じような目をした人がたくさんいた。


みんな新しい世界にどきどきして、興味を持った、そんな目だった。




「初めまして。」

いきなり声をかけられて、びっくりして那は声をあげてしまった。


「えっ…あっ初めまして。」



ふふふっと笑う女の子は、日本人ばなれした顔立ちだった。


「あなた、かわいいのね。気に入ったわ。」



そしていきなり那を抱きしめた。



「私、桃井潤(じゅん)。」

那を放して、花のような笑顔で笑った。


「私は、北本那。」


那が照れて笑うと、潤はまた那を抱きしめた。



「ほんとかわいいねー!」





< 56 / 142 >

この作品をシェア

pagetop