晴れ、のち晴れ

あたしはりんごを口にいれた。冷たくて美味しい。

「ピザでも頼むから好きなの選んで。俺よく知らないから」

葵はあたしの前にピザ屋のチラシを置いた。

「食べたことないの?」

「ない」

「お坊ちゃんだなあ、んじゃ、これとこれ」

「遠慮しろよ」

「駄目?」

「…別にいいけど」


あたしの指したピザに、葵は赤ぺんで丸をつけ、電話をしだした。

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