晴れ、のち晴れ

人に教えるというのは、あまり得意ではなかったが、梨羽の性格もあってか、苦にならずにいた。

教えているうちの半分は雑談だったが。

梨羽はどこか独特の見方で世間を捉えているようだった。

時折、夢香が加わって、なぜか夢香の宿題を教えることになったが、楽しそうに梨羽と話す夢香を見ていると、いいかという気持ちになる。


いつも感じている息苦しさが和らいだようにも思える。ただの気のせいかもしれない。

一人で自室に戻れば、またいつもと変わらない、焦りが葵を飲み込もうとした。

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