生贄投票
週があけて月曜日。


大島涼子は学校に来なかった。


「昨日からリョーコと連絡がとれないんだけど、何でかな?」


美奈都はホームルームが終わると同時に、クラスメイトたちに声をかける。


「まさかオマエが何かしたんじゃねぇだろうなぁ」


佐伯雅治が渡邉を睨んだ。


「何もしてないよ。頼むよみんな信じてくれよ」


あの日以来、渡邉弘樹は誰からも口をきいてもらえなくなっていた。


何度もみんなに誤解であると訴えたのに、誰も取り合ってくれないのだ。


このままでは間違いなく、今夜の投票で自分が選ばれてしまう。


(マズい。マズい。マズい。マズい。どうする? どうする? どうする?)


そう思っても、先週からずっと訴え続けているのに、誰も聞く耳を持ってくれないのだ。


渡邉弘樹の脳裏には、絶望の文字だけが浮かんでいた。
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