生贄投票
「アムだってそうだよミナト」


「え?」


「アムだって本気でミナトが犯人だなんて思ってないよ。とりあえずみんな不安なんだよ。怖くて怖くて誰かのせいにしなきゃ、自分を保てなくなってるんだ」


「うん。そうだね。それはそうかも」


「本当ならこんな状況になったら、怖くて逃げだしたくて、学校だって休みたくなるもんだよ。だけどお互いがお互いを監視してなきゃ、自分だけ一人になって次の生贄候補にされるのがイヤだから、みんな学校に出てきてるのよ」


涼花は顔を歪めて首を振る。


「そうだよね。誰だって自分が生贄になんてなりたくないもん」


「ああ、みんなもうかなり、精神的には限界に来てて、冷静に対処策を考えられなくなってる。このままだと次の生贄はタマオで、その次がアタシだ。だからアタシもアンタらと一緒に、真犯人を見つけなきゃと思ってる」


「おい。オマエ本当に田野か?」


直情型で冷静な分析なんか出来ないと思っていた涼花の、意外な一面を見て、修太は本気で驚いた。
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