Focus

「そんなこと言って、後悔しないでよ」


震える肩を引き寄せて抱きしめた。沙那さんからは、花の香りと濃い緑の草木の香りがした。

腕のなかの沙那さんを感じて、沙那さんの香りをかいでいると、とてもあたたかな幸せな気持ちが沸いて来る。


「後悔なんてしません。沙那さんこそ、失敗したって思わないでくださいね」



頬を撫でて上を向かせると、こぼれそうな涙を親指で拭った。

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