Focus

しばらく間があいてしまっても、機会があるなら相模くんにもお願いしたいと言って貰えたので、こちらも嬉しくまた予定を入れてもらうことにした。




そんなある日、紙袋一つとカメラバックを片手に坂道を登っていた。

駅から最短の近道に気持ちのいい大木があって、通るたびに癒やされていた。時には、ほんの僅かな間だけでも立ち止まり、風が木々の枝を揺らすのを聞いて街の中にある自然を感じていた。


今日もゆっくり枝と葉の奏でる音を聞こうかと坂道の下から見上げると、すでに先客がいるらしく木の影にブルーのワンピースがのぞいていた。


まだ暑くなる時間ではないけれど、気持ちのいい木陰で一休みしたくなる気持ちもよくわかるので、邪魔をしないように、そっと通りすぎることにした。

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