Focus

目を凝らすと、女の子が一人で三人の男に囲まれていた。

「だからね、飲みに行こうよ」


「大丈夫だって。俺らと居るって言っとけばいいっしょー」


「あのっ基本団体行動というか、自分勝手なのはダメなんですっ」

声が届いて誰だかわかる。思わず眉をしかめてしまう。このわずかな間にも、ナンパされていたなんて、どういうこと。

玲奈ちゃんの体に触ろうとした男の肩を後ろから掴んで引く。

思いのほか力が入っていてぐらりと体が傾ぐ。

「…何だよ、テメエは」


「悪いけど、その子連れなんだよね。その汚い手を引っ込めてくれない?」

穏便さを装った傲慢さ。ああ、煙草吸いたいのになぁなんて頭の片隅にあって、一対三だと不利じゃないかなんて出て来なかった。
< 39 / 229 >

この作品をシェア

pagetop