いい加減な恋のススメ



『で、教育実習の方はどうなの?上手くやってる?生徒たちに虐められてない?』

「られてないよ、ただあの人がいなかったらもっと順調だったかも」

『もはや幸澤に虐められてるってことか。まぁアンタ幸澤のお気に入りだったもんね』

「え、ごめん、初耳」


そんないきなり言われても信じられる訳がない。むしろ色々貶されていた気がするのに。
まぁ、確かに今日はちょっと嬉しいこと言われた気もするけど。


「け、けどさぁ……」

『何』

「……」

『……早く言ってよ、何』

「あ、うん……いや、やっぱり何でもない」

『何それ』


や、やっぱり昨日の夜と今日の朝のことは言えないよね、普通。その幸澤先生と知らない内に寝ちゃってたなんて杏に知られてしまったら大変なことになってしまう。それぐらいあの出来事って衝撃的。
それに本当にシちゃったのか分かんないし、ハッキリするまでは流石に杏にも相談は出来なさそうだ。

私が落ち込んだように溜め息を付いた為か、杏は見計らったように話題を変えてくれた。


『そうそう、今度その学校で文化祭やるんじゃん?私行こっかなぁ』

「え、何で」

『そりゃあ、実習してる泉の姿見たいし、どうせなら幸澤の顔も見ていこうかなぁみたいな。ねぇねぇ、入場券頂戴よ』

「えぇー、教育実習生にもくれるのかなぁ」


別にいいけど、と言うと杏は「最近暇してたから楽しみだわ」と言った。羨ましいな。



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