いい加減な恋のススメ
もうすぐ文化祭が近いということで今日のLHRはその内容を決めることだ。様々な意見が飛び交う教室の中でなかなか出し物は決まらない。
屋台にするのか、それとも展示か、それか発表か。
「(私の頃もこんな感じだったなぁ……)」
そんな風に懐かしく感じていると幸澤先生は「マジで今日決めろよ。遅れてんだから」と渇を入れる。
「そういう幸澤は意見出さないじゃん!」
「俺?何を言えばいいの」
「何か楽して楽しいやつとかないの?」
「ないな」
バッサリと切った幸澤先生に教室中からブーイングが飛び交う。この人、もう少しぐらい協力してあげたらいいのに。
でも確かに30分ぐらいはずっとこの感じだし、彼だってギリギリとか言ってたもんだから焦ってはいるだろうなんだけど。
私は心配そうに教室に雰囲気を見つめていると不意に隣に気配を感じる。顔を向けるとそこには腕を組んで棚に凭れる幸澤先生。
私は吃驚して「うわぁ!」と距離を離すと彼は冷たい目で私のことを見た。
「は?何なの」
「べ、べべ別に!」
「えー、まさか安藤せんせー俺のこと意識しちゃってるんですか?」
「は、はぁ!?馬鹿じゃないですか!」
してませんよ!、と口にすると彼はニヤリと口元を緩ませる。あ、何だか嫌な予感。