溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
その瞳の奥を見つめ返していると、突然ぐらりとその美しい顔が揺らいだ。
気分が悪くなり、うずくまった膝の間に顔をうずめるようにした。
「おい、しっかりしろ」
聞こえてくるのは、新城さんの声。
「大丈夫だ。すぐに助けが来る」
力強く肩をつかまれ、おそるおそるまぶたを開ける。
そこには、よく知っている新城さんの顔があった。
あの知らない少女じゃない。
ホッとすると体から少しだけ力が抜けた。
「ごめんなさい……」
私はすがるように、自分から新城さんに抱きついた。
背中に両手を回し、ぎゅっと力を入れる。
「少しでいいんです。こうしていてくれませんか」
そう頼むと、新城さんはそっと私の身体に腕を回した。
「もちろん。いくらでも」