明日も、生きる
【遠藤 哲】


ちゃんと心の準備が出来たか、わからない


コンコン


個室の扉は、開いていたがカーテンで
めぐの姿は見えなかった

親父がノックして、中に入る


「やぁ!ご機嫌いかがかな?」

めぐからの返事は、無かった

篤が俺の背中を押して、2人でめぐの前に

「よぉ!」「こんにちは!」

俺は、固まった

めぐは、ゆっくりと顔を反らした

俺の反応を見て、剛が近くにとぼとぼくる

カーテンをつかんで、ひょこっと顔を出す


「ねぇ?」


呼ばれて剛の方をめぐが見る


剛「頭、痛いの?」



剛「近くにいっていい?」



めぐがジッと剛を見てから、どうぞって

ベッドをポンとゆっくり叩いた



剛は、靴を脱ぎだした


「え?おい!剛!!」


止めたけど、めぐのベッドに上がりこんだ

ベッドの頭が、少し起こされているから

ごろ寝ではないが、めぐの隣に丸まった


剛「ねぇ…いつものして」


????


何のことかわからなかったが

めぐの右手が剛の頭を撫でる

その薬指に俺の指輪が光っている

めぐは、剛の頭を撫でながら

眠った




栗原夫妻が言うには、記憶障害があり

感情表現も出来なくて、気が乗らないと

喋ることもしないんだとか



剛「忘れてなんかいないよ!!
子供の時めぐは、寝付けないとき、いつもこうしてくれた!!」



ベッドから、起きて俺達に訴える



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