もう君がいない


そうして公貴と、のんびり笑いながら話していたとき、


「ぐすっ、、ぐすっ、、」


後ろの方から、鼻をすする音が聞こえてきて、、



「誰かいるのか?」

公貴が、そう声をかけてみると、、


「盗み聞きしました。すいません。」


そう言いながら、自販機の陰から、現れた。



「拓弥?」

「お前いつから、」


それは、なぜか涙に濡れた顔を必死にこする、拓弥だった。




「最初からいました。すいません。」

「つけてたのか?」


公貴が言うと、


「二人が部屋出るとき俺も起きてて、気になっちゃって、つい、、。すいません。」

そう言って、すいませんを連呼する拓弥。



その話し方も変だけど、でもそれよりも、俺からしたら、


「で、なんで拓弥が泣いてんだよ。」


そっちの方が、完全にインパクト大だった。



「だって、もうなんか途中から青春映画でも見てるような感覚になちゃって。」

「はぁ?」


心の底から、呆れた顔で笑う公貴。


「だって、お前らかっけーんだもん。もう俺には、夕焼けに染まった河原に、肩並べて座ってるお前らしか見えなかった。」

「拓弥、お前ほんと、」



これには俺も、呆れてって言うか、鼻から笑いが出てしまう。


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