もう君がいない


美雪にそう言われて、私はもう一度、女子と話してる蓮の方へ目を向ける。


「うん、いいや。楽しそうだし、私の取り越し苦労だったみたい。」


「そっか、ならいいけど。あ〜、疲れた〜!」


そう言って美雪が、近くにあった木の切り株に腰かけたとき、



「茉菜?」

名前を呼ばれて振り向くと、蓮がベンチから腰を上げてこっちを見ていた。


「あっ、本当だ〜。」

「美雪ちゃんも〜!」

「茉菜ちゃんも美雪ちゃんも、こっち来て一緒に話そうよ〜!」


蓮に続いて私達に気づいた女子達が、私達を誘ってくれた。

私と美雪は一度顔を見合わせ、一緒に蓮達がいるベンチの方に向かった。



「ねぇねぇ、展望台どうだった〜?いま行ってきたんでしょ?」

私の目の前にいた子が、身を乗り出すようにして聞いてきた。


「そんなに遠くなくて、景色もすごく綺麗だったよ〜!」

美雪がそう言うと、その子の表情がパッと明るくなり、目をキラキラ輝かせた。


< 59 / 448 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop