相棒の世界





「ーーーおい」



「っ!!」




ふと目の前から声がした。



男の声だった。





「何やってんだ?こんなところで」



「っ……」




俺は身を縮ませた。



また殴られると思ったのだ。







「………ふっ」



男は笑みを浮かべると、俺の前にしゃがみこんだ。




「っ!!!」



「まあそんな顔するなって」





男は懐からゴソゴソと何かを取り出すと、それを俺の脚に当てた。




ーーーナイフだった。






「っ!!!」




ひんやりとした感覚で、俺はすぐさまそれがナイフだと分かった。



一瞬にして恐怖に包まれた。





「…っ…っ…っ」



「ぎゃはは!いーねー震えてるねー!!」





男はもっとナイフを脚に押し当てた。




「っ!!!」




痛みがじわじわと身体を蝕んでゆく。



傷口から溢れ出てきた血が脚を伝ってゆくーーー。






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